ベリーと抗酸化作用


1) 抗酸化物質

   活性酸素(スーパーオキシド・O、過酸化水素H、ヒドロキシラジカル・OH、一重項酸素など)の無害化に寄与する物質。
   天然物質として以下のようなものがある。
   ・ビタミン類
     ビタミンC(アスコルビン酸)
     ビタミンE(トコフェノール、トコトリエノール類) ハスカップ、グースベリー、ラズベリーに含有。
     (ビタミンA:カロチノイド) グミ
     (ビタミンB2)
   ・カロチノイド(カロテノイド)
     カロチン(α、β) ビタミンA(C20)を含む グミに含有。
     キサントフィル(ルテイン、・・・)
     リコピン
   ・ポリフェノール類 ブルーベリー、ラズベリー、アカスグリ、クロスグリ、ブラックベリーに含有。
     フラボノイド  ブルーベリー、ラズベリーに含有。
     クロロゲン酸 コーヒー豆に含有。
     エラグ酸(エラジタンニンの分解) イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウに含有。
     リグナン ゴマに含有。
     クルクミン ウコンに含有。
     クマリン シナモンに含有。
     レスベラトロール スチルベン誘導体、ブドウの果皮に含有。
   ・セサモール ゴマ油に含有。
   ・アミノ酸、ペプチド類
     シスチン(アミノ酸)
     グルタチオン(チオール−SHが活性)


  *カロチノイドはCH2=C(CH3)CH=CH2のイソプレン単位を8個有するC40H56の基本骨格を有し、共役二重結合が抗酸化作用、
    黄〜橙〜赤の呈色効果をもたらす。
    カロチン(α、β)、リコピン、ルテイン、キサントフィルなど。

  *ポリフェノールはフェノール性−OH基(芳香環についた−OH基)を複数もつ物質。
    フラボノイド、クロロゲン酸、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン(C6−C3)などが著名。

  *フラボノイドはフェニルクロマン(2つのベンゼン環が3つの炭素でつながったC6−C3−C6)構造を基本骨格とする芳香族化合物。
    フラボン類
    フラバノン
    アントシアン(アントシアニン) 配糖体(糖がグリコシド結合により様々な原子団と結合)、赤〜紫〜青を呈色  
                       ブルーベリー、ラズベリー、クランベリーに含有。
    カテキン
    ビタミンP(ビタミン様物質:ルチン、ケルセチン、ヘスペリジンなど)
    イソフラボン
    キサントン(C6−C1−C6)
    *フラバノール(カテキン、・・・
    *フラボノール(ケルセチン、・・・
    *アントシアニジン類(アントシアニン、シアニジン

  *アントシアニンはアントシアニジンが糖と結合した配糖体。
  *タンニンはフェノール性−OH基を有する。フラバノール骨格を持つ化合物(カテキン類)が重合した縮合型タンニンと、没食子酸やエラグ酸
   などの芳香族化合物とグルコースなどの糖がエステル結合を形成した加水分解性タンニンの二つに分類。



 国民生活センター



   アントシアニン、フラボノール、ヒドロキシ桂皮酸の構造


 米国農務省(USDA)が開発した抗酸化力評価法にORAC法というものがあり、これによるデータが2010年に公表された。
 しかしながら、生体での抗酸化作用の生理学的証拠がないとして撤回されたが、このデータが一人歩きしているようなところがある。
 これには全フェノール量も載っているので主なものを抜き出しておく。

  水溶性:H
  油溶性:L
      100g当たりTrolox(水溶性ビタミンE)等量μモル(molTE/100g)
  全フェノール
      100g当たり没食子酸等量mg(mgGAE/100g)

H−ORAC L−ORAC 全ORAC 全フェノール
*断りなき限り生raw
バナナ 730 66 795 155 10
ブラックベリー 5802 103 5905 477 13
ブルーベリー 4633 36 4669 311 47
野生ブルーベリー 9621 9621 429
チョークベリー 15820 242 16062 2010
クランベリー 8888 202 9090 503
カラント、ヨーロッパ、黒 7880 81 7957 1202
カラント、赤 3260 127 3387 540
エルダーベリー 14500 197 14697 1950
イチジク 3200 183 3383 960
ゴジベリー 3173 117 3290
グースベリー 3302 30 3332 517
ブドウ、赤 1837 1837 170
ガヴァ、普通 1422 1422 136
1872 50 1922 133 15
プラム 6083 17 6100 332 11
ラズベリー、黒 19220 19220
ラズベリー 4927 138 5065 414
ローズヒップ 96150 383
イチゴ 4266 36 4302 332 14
スイカ 123 19 142 59
キャベツ 508 21 529 202
ブロッコリー、ボイル 856 856 59
ニンジン、ボイル 310 18 326 88
セロリ 512 40 552 42
レタス、緑葉 1391 141 1532 90
トマト、赤、熟 364 23 387 80



2) ビタミンとミネラル

   推奨量と上限(おおよその値、詳しくは→食事摂取基準(2015年)

 ・ビタミン
   脂溶性ビタミン
     A(700〜900μgRAE、3倍程度)
     D(5.5〜6μg、20倍程度)
     E(6〜7mg、100倍程度)
     K(150μg)
   水溶性
     B1(1.0〜1.5mg)
     B2(1.1〜1.7mg)
     ナイアシン<B3>(10〜16mgNE、20倍程度)
     B6(1.2〜1.5mg、40倍程度)
     B12(1.8〜2.5μg) 
     葉酸<B9>(230〜250μg、5倍程度)
     パントテン酸(4〜5mg)
     ビオチン<B7>(50μg)
     C(100mg)

   上限記述なきもの K、B1、B2、B12、パントテン酸 ビオチン C

 ・必須ミネラル
   ヒトの体内に存在し、栄養素として欠かせない。16種。
   1日の摂取量が概ね100 mg以上のものを主要ミネラル (マクロ元素) 、100 mg未満のものを微量元素。
   主要ミネラル Na、Mg、P、S、Cl、K、Ca
   微量元素  Cr、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Se、Mo、I

   多量 5種
    Na (食事目標量7.0〜8.0g未満)
    K (2600〜3000mg以上)
    Ca (650〜800mg、上限2500mg)
    Mg (270〜370mg)
    P (800〜1000mg、上限3000mg)
   微量 9種
    Fe (7.0〜10.5mg、上限40〜50mg) *女子注意
    Zn (8〜10mg、上限35〜45mg)
    Mn (3.0〜4.5mg、上限11mg)
    Cu (0.8〜1.0mg、上限10mg)
    I (130μg、上限2000〜3000μg)
    Se (25〜30μg、上限330〜460μg)
    Cr (10μg)
    Mo (25〜30μg、上限450〜550μg)




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